NYで定番のスイーツデニッシュ「バブカ」って知ってる?
バブカとは?|“編み込み×層”を味わう、東欧生まれの甘いパン
バブカは、卵とバターをふんだんに練り込んだリッチな生地に、チョコレートやシナモンのフィリングを塗ってくるくる巻き、縦に割って編み込むことで美しい層を作る菓子パンです。起源は東欧のユダヤ人コミュニティ。家庭で受け継がれてきた素朴なレシピが、移民とともに各地に広がり、いまではローフ型でしっとり焼き上げる“NYスタイル”が世界的に親しまれています。切り分けた瞬間に現れる渦巻きの断面、ほんのり漂うバターの香り、しっとりとろける口当たり——見た目も味もワクワクさせる一品です。
なぜNYで人気?|ベーカリー文化とポップカルチャーの相乗効果
多文化が交差するニューヨークでは、戦後からユダヤ系ベーカリーが街の食文化を支え、朝食にも手土産にも“気取らないごちそう”としてバブカが定着しました。さらに90年代以降はドラマやメディアでの露出が増え、チョコ派・シナモン派の“ふんわり論争”まで生まれるほど話題に。肩肘張らずに日常に溶け込みつつ、特別感もある——そのバランスが、忙しいNYの暮らしにぴったりだったのです。週末のブランチに、オフィスの差し入れに、気軽でハッピーな甘さが求められるたび、バブカが選ばれてきました。
「NYの定番」になるまで|名店の工夫がアップデートした味
NYの老舗ベーカリーが伝統を守り続ける一方で、2010年代にはチョコスプレッドやナッツ、ヌテラを重ねた濃厚なレシピが脚光を浴び、バブカは“再発見”のブームに。クラシックな良さはそのままに、素材の重ね方や焼き上がりのツヤ、断面の見せ方など、各店が工夫を凝らすことで“NYに行ったら食べたい定番”へと進化しました。食べ歩きを楽しむ人々がSNSで断面をシェアし、旅行ガイドやグルメランキングでも常連に。いまやニューヨークを語るうえで外せないベーカリーアイコンです。
定番のバブカとは?|生地・層・ツヤの三拍子が揃った“王道チョコ”
王道は「チョコレートバブカ」。ブリオッシュのようにコクのある生地を薄く伸ばし、チョコレートフィリングをたっぷり塗って巻き、縦に割って編み込むことで、焼き上がりにチョコの筋が幾重にも走る美しい断面が生まれます。焼成後にシロップを打つと照りとしっとり感が加わり、表面にクランブル(シュトロイゼル)をのせればカリほろ食感のアクセントも。ひと口目はふわっと、二口目はチョコがじんわり。温め直すと香りが立ち、チョコのなめらかさがいっそう引き立ちます。
日本での知名度は?|“NY気分”でじわり浸透中
日本ではまだ“誰もが知る定番”というほどではないものの、輸入食品店や人気ベーカリー、ポップアップや特集記事を通じて出会える機会が増えています。初めての方には、まずはチョコから。朝はコーヒーと、午後は紅茶やミルクと合わせて、軽くリベイク(トースターで短時間温め)すれば、層がほどけて香りも甘さもふんわりアップ。翌日はトースト風にカリッと、週末は厚めに切って贅沢に——日常のひとコマを少しだけ“NYの朝”にしてくれる、そんな存在感がバブカの魅力です。